「健康と空間・まちづくりシンポジウム」のご報告

2016年6月14日(火)に「健康社会と空間・まちづくりシンポジウム」をイイノホール&カンファレンスセンターにて竹中工務店と共同で開催いたしました。当日は、約200名の方に参加いただき、予防医学からスポーツ、メンタルヘルスなど様々な視点から健康社会と空間・まちづくりに関して幅広いディスカッションを行いました。

基調講演 「健康なまちづくりに向けて」

千葉大学予防医学センター教授・国立長寿医療研究センター老年学評価研究部長 近藤克則氏

従来人々が自らの健康とその決定要因についてコントロールし改善することが重要視されてきたが、 現在は人々を取り巻く環境-すなわち健康な「まち」や「建物づくり」から健康を指向する動きが活 発化している。 その中で「健康なまち」が存在する。その実現するためには、社会参加が重要であり、それを促すた めに建造環境(ハード)とプログラムやボランティアなどの人材育成(ソフト)が必要となる。 また、今までの研究で蓄積されたデータを活用しながら、新たな試みと効果の検証、そして普及させ ていく役割を企業が担うなど、より一層産官学がコラボレーションしていくことで健康社会が実現で きる。

招待講演 「スポーツを軸としたまちづくり」

大阪ガス株式会社/北京オリンピック陸上 4×100m リレー銅メダリスト 朝原宣治氏

主宰している「NOBY T&F CLUB」や「アスリートネットワーク」の活動を通して、アスリートと して培ったスポーツに関する経験・スキルだけでなく、それを支えた食の知識やアスリートとの交流 の場の創出など地域の人々が集まり、参加する様々なプログラムを展開している。 今後も健康なまちづくりのために、アスリートとして発信する力・人々を繋げる力を発揮し、行政・ 企業・地域の方々を巻き込みながら、スポーツを軸として様々な人々のコミュニケーションが広がる 場とコンテンツを作っていくことが重要であり、それが地域の活性化や地方創生にもつながる。

ビジョンの提言 「健康社会と空間づくり・まちづくりビジョン」

株式会社竹中工務店 執行役員 スマートコミュニティ推進室長 児玉正孝 氏

健康社会の実現に向けて空間づくり・まちづくりのあり方や課題を千葉大学予防医学センターと有識 者の方々と「ステークホルダーコミュニケーション」という場を通じてディスカッションしてきた。 それを踏まえて、このたび、健康社会に向けた空間・まちづくりのビジョンとして「健築」というメ ッセージ、「交流」「身体活動」「感性」という「健築」が持つ空間特性、更には実現するために「空間 デザイン」「プログラム」「分析・評価」の 3 つの視点をつくりあげた。 そして、この「健築」の実現と未来の健康社会に向けては様々な知見が求められ、健康社会に関わる 多様なセクターとの連携が不可欠だと考えている。

 

パネルディスカッション 「健康社会と空間づくり・まちづくり~多様な視点から考える、これからの空間・まち~」

パネリスト 近藤克則 教授/ 朝原宣治 氏 / 有賀玲子 氏 / 島津明人 准教授 / 児玉正孝 氏

モデレーター 花里真道 准教授

・まず、社会参加やコミュニティとのつながりの重要性について共有した後、そのためには「仕掛けを いかにつくるか」「世代間交流など、普段からコミュニケーションを図ることができる場をどのように つくるか」「いかに学術的に評価をしてそのメリットを社会に伝えていくか」といった議論がなされた。

・次に、そうした社会参加や身体活動を促すうえで、感性に訴えかける、「わくわくドキドキ」や「感動」 を感じてもらう重要性や方法についてディスカッションが進んだ。「論理的に訴えかけるだけでは限界 がある。健康に良いとわかっているけど継続しない、やらないということも多い」という指摘がなさ れ、「直感的に何となく健康に良いといったことを活用したり、空間的に心地良いとか、思わず上りた くなってしまう階段など建築やまちづくりの観点から促進することも重要」「行動変容に繋げるために、 成功体験や達成感を積むことが必要で、そこには環境デザインやスポーツの力は非常に大きい」とい った意見が出された。

・最後にこれからの健康なまちづくりへの期待や連携の在り方についてコメントをいただいた。

 

photo1 photo2